居酒屋チェーンの源流をたどっていったとき、3人の創業者に行き当たるであろう。
「ニュートーキョー」(1937年創業)の森新太郎。
「天狗」(1969年創業)の飯田保。
そして、
「養老乃瀧」(1956年創業)の木下藤吉郎である。
むろん、木下藤吉郎は本名ではなく、矢満田富勝というのだが、
天下統一を果たした秀吉はキライらしく、
貧乏で親孝行、仕事熱心で天衣無縫な木下藤吉郎こそが好きで、
横浜に1号店を出したころから「木下藤吉郎」を名乗りはじめたらしい。
さて「養老乃瀧」がチェーン居酒屋として急成長できたポイントがいくつかある。
・前払いの食券制、ツケなしだったので、現金払いで安く仕入れることができた
・まだフランチャイズ方式が広まっていない1966年に導入し、板橋にFC1号店
・しかもかつてはロイヤリティをとらなかった
・セントラルキッチンの草分け、異業種からのFC参入がすすむ
*参考文献 橋本健二『居酒屋の戦後史』(祥伝社、2015年)
そんな「養老乃瀧」は私にとっても居酒屋の"源流"なのだ。
高校時代、ドキドキしながら友人とはじめて入った居酒屋が、
船橋の「養老乃瀧」だったのだ。なぜに船橋!?(笑)
大海老のフライと塩焼きが安かったのでそれを何皿も頼んで、
養老ビールをいい勢いで飲んだのをよ~く覚えている。
この日は、駒込で仕事があったのだが16時過ぎに解放された。
よし!
久々に"養老"にようろう。なんちゃって(・ω<)
養老系列の「一軒め酒場」は石神井にもあるのでしばしば愛用しているが、
「養老乃瀧」は本当に久々だ。
チェーン居酒屋でも、本部の方針いかんで、
締め付けがきついところと、各店舗の自由度が高いところがあるが、
店頭の"本日のおすすめ"を見る限り、養老のFCは比較的自由度が高いと言えるだろう。
L字カウンター席、短辺の端っこに座る。
もちろん、まずは。
「養老ビールください!」
養老乃瀧は昔からSAPPROと提携し、
黒ラベルを養老ビール仕様にして出していたが(一時、消えていたようにも思うのだが・・・)、
最近は「YORO BEER」と横文字になったんだね。
なんかお通しが立派に見える。
グランドメニューはいっさい見ずに、
ここはボードにあった"本日のおすすめ"を徹底的に攻めていきたい。
いわし刺身(300円)
期待していなかったが、きれいないわしが出てきた。
わかめもしっかり盛られ、300円は嬉しい価格。
穴子の天ぷら(300円)
これも肉厚でサクッと揚がった穴子天が300円っすか。
なかなかやるな養老。
YORO BEERがなくなったので、日本酒へスイッチしよう。
ちょうどカウンター席の上に日本酒のラインナップが並んでいた。
お、おおおっ!
丸眞正宗がある!
こりゃ、飲まなきゃ!
「丸眞正宗」は、明治11年創業で東京23区内唯一の酒蔵である「小山酒造」の日本酒だ。
城北地区を中心に流通し、北区の地酒という珍しさもあって広く愛されてきた。
※いまは芝に「東京港醸造」という酒蔵が復活し「江戸開城」ってお酒を造っているので23区内唯一は微妙になっていたけど・・・
赤羽にある有名なおでん屋さん「丸健水産」のワンカップは、
「丸眞正宗」なので飲んだことのある方も多いだろう。
名物おでん割りは丸眞正宗あってこそなのだ。
ところが1月末に小山酒造が廃業するというニュースが飛びこんで来た(゜Д゜)
東京商工リサーチ
東京23区内で最古の酒蔵・小山酒造が廃業へ
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180130_01.html平成30年2月28日を持って廃業というニュースは、
日本酒ファンに大きなショックを与えた。
もう飲むことのできない小山酒造の「丸眞正宗」がまだあるとなれば、
何を置いても飲まなくてはならない。
「丸眞正宗」ですら廃業に追い込まれるのかと・・・
〈日本酒〉が置かれている厳しい現状を憂いながら、しみじみいただく。
2杯目に「会津ほまれ」を頼み、豚の角煮(450円)も追加。
おいおい、なんだこの美しさ。
ほんとに養老やりおるぞ。
つゆだく角煮を想像していたら、汁はまったくなし。
半熟煮玉子とほうれん草がたまらんじゃないか。
お会計の時に丸眞正宗の話を店員さんとした。
店員さんも廃業を残念がってたし、いまある一升瓶が最後なんだって。
ぎりぎりセーフ。
よかったぁ~飲めて。
久々の「養老乃瀧」、安いし美味いし大満足だったよ。
やっぱ居酒屋チェーンの源流としての矜持は失われていなかったのだな。
こんどは、飯田保が築いた「天狗」にも行ってみるかな。
「天狗」の蘊蓄も語りたいし・・・(笑)
蘊蓄と言えば、最後にもうひとつだけ。
「信州ゴールデンキャッスル」って知っているだろうか。
木下藤吉郎が故郷の長野に建てたのものなのだが・・・
ぜひググって欲しいな(^^;
建物はまだあるようだが、いまはどうなっているんだか。
養老乃瀧 駒込店
北区中里2丁目1−2
電話: 03-3917-7272
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