さかばクン、南千住ハシゴ旅。
2軒目は、再び山谷方面に戻って、「大林酒場」に向かいました。
「大林」は「だいりん」と読みます。
こちらのお店にはいくつか厳しい「掟」があり、
大変偏屈な大将がいるお店だと聞いていましたので、
相当ビビって戸を開けました。
【大林酒場の掟】
一、酔っ払いお断り
一、大人数お断り(3人でも断れることがあるとか・・・)
一、写真撮影禁止
一、携帯電話使用禁止(スマホは大丈夫なんてことはもちろんありません)
一、うるさい客退場
すでに我々は「弁慶」で飲んでおりますが、
あの程度で顔が赤くなったり、呂律がおかしくなったりはしませんので、
とりあえず、カウンター席につくことはできました。
「掟」のとおり、写真が撮れないものですから、
私の文章だけで、どこまでこの大林酒場の凛とした空気感を伝えられるか自信がありませんが、
がんばって訪問時の様子をお伝えしましょう。
襟を正して、瓶ビールをオーダーします。
「瓶ビールとグラス2つ、お願いします!」と I さんが大将に注文してくれました。
ほどなく黙ってキリンラガーとコップが2つ置かれます。
すると大将がボソッと
「二人なんだから言われなくてもコップは2つ出すよ」
うわぁー、いきなり大将から先制パンチを食らいました。
(さすがジョーの街です)
いきなりふたりともシュンとして、乾杯です。。。
小皿にお通しが出されますが、「わかめのぬた」でした。
こちらの店内はありとあらゆるものが昭和のまんまなんです。
そういうレトロなインテリアにしているとかではなく、
まさにリアル昭和です。
天井が高く、床はコンクリートで仕上げた三和土になっています。
長いL字カウンターがあり、カウンター席の後方にはテーブル席も少々あります。
(終始、緊張していたので席数まで数えていません・・・)
机も椅子も、当然木製。
モノは古いですがよく手入れされていることがわかります。
店内は大変清潔で、この凛とした空気を醸し出している要素となっています。
L字カウンターの中も広いスペースになっており、
酒が並べられ、
年季の入った冷蔵庫が鎮座しています。
ここが大将の仕事場です。
その奥には厨房があります。
厨房と大将の仕事場をつなぐ横長の小窓を見ますと、厨房も広いようです。
おふたりの女性が料理を担当されてました。
さぁ、肴は何を頼みましょうか。
白い紙の短冊メニューが壁一面に整然と貼られています。
刺身、フライ、煮物・・・
カツ丼、炒飯なんてものまであります。
そのほかに本日のおすすめメニューが黒板に書かれています。
お通しにだされた小皿のわかめぬたをよく確認しておらず、
「ねぎぬた」をオーダーしてしまいました。
ぬたかぶりです・・・(笑)
ぬたには、ねぎのほかまぐろも入っていましたよ。
おあとは肉豆腐も頼み、 I さんと静かにビールを飲んでいたそのとき。
カシャッ!
乾いたスマホのシャッター音がトイレの方から聞こえました。
なにせとっても静かなお店です。
シャッター音が見事に響いてしまいました。
すると大将が鬼の形相でトイレへ猛然と向かっていき、
「なにコソコソやっているんだ! 写真は撮るなって書いてあるだろ!」と怒っています。
店内は撮れないからせめてトイレだけでも撮ろうと思ったのでしょう。
大将に一喝され、完全に生気を失った男性が席へと戻ってきました。
そもそもこちらの二人客は入店時から大将ににらまれていました。
大将には「酔客を見抜く目」があります。
すでにテーブル席に着いた時点で「飲んで来てるよね」みたいな注意を受けていたんです。
それでも大将は一旦見逃し、ビールを出してくれていたのです。
(我々も見逃されているのでしょうが・・・汗)
そこへもってきてのトイレ激写でしたので、
もう彼らが店にいられるはずがありません。
自主的にすごすごと退散していきました。
我々は完全にこの光景に動揺しておりましたが、
常連とおぼしき一人客の多くは何事もなかったかのように酒を飲んでいるのです。
よくある光景なのかも知れません。。。
気を取り直そうと、燗酒を頼みます。
日本盛と白雪がありましたので、純米と書かれていた「白雪」を選びました。
カウンター席についたときから湯煎器が気になっていて、
お燗を頼もうと考えていたのです。
「白雪のお燗をお願いします」とおそるおそるオーダーします。
するとその瞬間、
ずっと険しかった大将の表情がわずかに緩んだように見えました。
ん?
もしや、大将はお燗を頼まれて嬉しかったのでは。
ひょっとして、白雪を選んで酒のわかる客と思ったのでは。
いずれにせよ、このときだけ大将と心を通じることができたのかなと思いました。
燗酒へのスイッチに合わせ、
かじきフライといか刺しも追加オーダーです。
かじきフライは揚げたてで絶品。
いか刺しも大きなサイズで食べ応えがあり、日本酒との相性も抜群でした。
ふたりで燗酒3本をぺろっと空けてしまいました。
そろそろ、我々も大将からレッドカードを出される前に引き上げましょう。
・・・・・・ってな感じで縷々書き連ねてきましたが、
大林酒場の魅力はうまく伝わりましたかね???
たしかに「気難しい」酒場かも知れません。
好き好きが分かれる酒場でもあるでしょう。
しかし、こちらの「掟」にしたがって飲めば・・・
こんなに居心地のいい酒場はないと強く感じました。
無口な大将は客に話しかけてくることはありません。
ひとりで立ち寄る男性客は、
一様に黙って本を片手にしみじみ飲んでいました。
それは本当に酒を愛し、酒場を愛する客の姿でした。
ここは
自分だけの贅沢時間を愉しめる酒場
なのです。
大変失礼ながら、大将も調理場の女性おふたりもだいぶご高齢のようでした。
これからもお体を大事にされ、
末永くこの酒場を続けていただきたいと思います。
今度はきちんと“一軒目”として立ち酔り、
ひとりでじっくりと盃を傾けてみたい「大林酒場」でした。
さぁ、まだ明るいですね。
南千住駅へ向かい、本日3軒目へまいりましょう!
靄のかかるスカイツリーが見えてきました。
南千住駅そばにある「大坪屋」です。
こちらにはおっかない女将さんがいて、必ず怒られると言います。
今日は、完全に“ドMな店”ばかり選んでますね(笑)
ところが、お店の暖簾がしまわれているではありませんか!
「営業五時より」の札は出ていますねぇ。
このときすでに5時は過ぎていたように思うのですが・・・
開く気配もありませんでしたので、あきらめます。
丸千葉につづいてのハプニングでしたが、
こんなことはハシゴ酒にはよくあること。
ならばと、北千住へ移動することにしました。
3軒目はまた次回。
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