少し風邪気味の身体に活を入れるべく、とんかつを食べに旧飛騨街道へ。
往時は天領飛騨高山と富山とを行き交う人々で賑わったであろうこの通りも、国道41号がその役を引き継いだ今となっては、ただただ静かな裏通りとなっている。
目指す店は旧飛騨街道の富山側の起点である西町の交差点から徒歩3分ほど。
その名も「中華・とんかつ処 伊志井」。
「中華とんかつ処・伊志井」ではなく、「中華・とんかつ処 伊志井」。
当ブログでもヤマピカリャーの記事の中で頻出し、最近ではさかばクンさんも取り入れつつある「ハイブリッド」。
この店はまさにその言葉を体現した、中華料理とトンカツのハイブリッドの店なのである。
もとはご主人夫婦が切り盛りするとんかつ屋であったのだが、5年ほど前、中華料理屋で修業を終えた息子さんが店に戻り、晴れて今のハイブリッド形式に。
当初は客側としても「なぜとんかつと中華?」と、やや戸惑いがあったものだが、今となってはすっかり馴染み、中華をつまみに、締めにトンカツ、などという使い方も出来るありがたい店となっている。
中華もいわゆる町の中華、といった品ぞろえでありながら、修行の甲斐あってか、どこか本格の風を感じさせる味わいで、非常においしい。
とは言え、今日のお目当てはとんかつ。
ロースカツを頼み、エビスでのどを湿らせながら揚げ上がりを待つ。
とんかつと中華、使う食材も異なれば調理器具も異なる。
調理エリアは区分されているが、後から追加となった中華のエリアのほうが狭くなるのはやむを得ないところか。
(写真左がとんかつを揚げるご主人、右側が中華を作る息子さん)
10分ほど待って揚げあがり。
衣は薄めのパリッとした仕上がり。
豚肉のうまみを最大限に味合わせてくれる。
熱めのなめこ汁もうれしい。
食べ終わるころにはすっかり風邪も気にならなくなる。
ごちそうさまでした。
唐突ではあるが、中国、唐代の故事成語に「創業は易く、守成は難し」というものがある。
中国史上、いや、世界史上を見ても五本の指に入るのではないかと思われる名君主、唐の太宗の言葉だけあって、現代でも価値を損じることなく重みを感じさせる言葉である。
「守成は難し」、事業継承の困難さはいつの世も変わらない。そんな状況に置かれながらも、とんかつに執着することなく中華への進出というある意味、クォンタムジャンプとも呼べそうな大胆な転換を図った店主の度量は素晴らしい。
そのようなことを考えながら、ぶらぶら歩いて市立図書館へ、本を返却しに向かう。
そういえば、この図書館も鉄骨と木材のハイブリッド構造だ。
新国立競技場も手掛ける隈研吾氏のデザインだけあって、図書館として求められる機能性と利用者の快適さ、双方を兼ね備えたすばらしい建築だ。
とかく厳しい視線に晒されがちな新国立競技場ではあるが、この図書館をデザインした人が手掛けるのならば、オリンピックに相応しい競技場ができるのではないか、そんな期待を抱かせてくれる。
2020年代の日本が「守成」を成すためにも、東京オリンピックには成功してもらいたいものである。
店名:中華・とんかつ処 伊志井
住所:富山県富山市太田口通り1-6-20
TEL:076-422-1432
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